共同意思決定をサポートするWebツール SHARE

乳がん患者の再発不安・恐怖に対するスマートフォン問題解決療法
および行動活性化療法の有効性のための無作為割付比較試験

SHAREの理念と活用方法

SHAREが基づく理念と活用方法をご紹介します。

SHAREとは

SHAREとは、治療を受けるご本人の希望とリカバリーの実現を助け、ご本人と主治医とのSDM(Shared decision making: 共同意思決定) を支援するために開発されたコンピューターシステムの愛称です。正式名称「Support for Hope And Recovery(希望とリカバリーの支援)」の頭文字を取って名付けられました。

SHAREの主なツールと特徴をご紹介します。SHAREのシステム内に使い方の詳細説明がありますので、SHARE導入後は、そちらをご参照いただくと簡便に確認できます。

基本ツール

SHAREには、次のようなツールがあります。

また、有益なウェブサイトにアクセスできる「ライブラリー」、自分の症状や生活の変化をみることができる「私のグラフ」などの機能もあります。
SHAREの主役は利用される方ご自身です。そのまわりにピアスタッフの皆様、主治医の皆様、ケースマネージャーの皆様がいて、SHAREの内容を共有しながらご利用者様の希望とリカバリーを応援します。

特徴

  • 患者自身が自分の情報を診察前後に確認できる
  • 経時的な変化をグラフで確認できる
  • 治療における中長期の目標を、こまめに確認・更新できる (希望とリカバリーのノート)
  • 診察時に特に伝えたいことを事前にまとめておける (SHAREシート)
  • 診察終了時に、決めたことをご本人と医療者双方で確認できる (SHAREシート)

イメージ画像 (クリックすると拡大表示され、右下の×印をクリックすると、元のページに戻ります)

SDM (Shared-Decision Making: 共同意思決定)とは

SDMとは何か

SDMとは、「現在の状況を理解し、最も良い方法を決めるために、医療者と患者本人が協働すること」です1。すなわち、”治療ゴールや治療の好み、責任を話し合って、2人で適切な治療を見つけ出すこと”といえます 2,3

SDM実施にあたり鍵となる要素

SDM実践の鍵となる要素として、以下の要素が挙げられています1

・患者の状況を整理すること
・(その状況のうち) 対応が必要な側面を特定すること
・対応方法は複数あることを自覚すること (choice awareness と呼ばれる)
・実施可能な対応方法の良い点、悪い点が患者本人に伝わること
・患者本人が重視すること、またそれらを重視する理由を理解すること

なぜSDMが大切なのか

では、なぜSDMが求められているのでしょうか。その背景には、治療を受ける本人の “好み (preference) ” の重要性が認識されるようになったことが挙げられます4。医学が進み、治療法が多様化する現代において、誰にでも効果がある一意の治療法が決まることはあまり多くありません。つまり、不確実性がある中で治療を決めるには、その本人の好み (生活に対する希望や重視すること) を考慮した上で、治療を選択する必要がでてきます。

精神科におけるSDM

医学領域全般で重要とされるSDMの概念ですが、精神科においても注目を集めてきています。不確実性がある中での治療選択の手法としての重要性はもちろんのこと、 近年のメンタルヘルス領域の潮流である、リカバリー志向の概念とも合致すると考えられています5
このリカバリーという概念には、エンパワメントという概念が含まれます。エンパワメントとは、人々が他者とのかかわりを通して、自分にとって最適な状況を主体的に選びとり、主体的な価値を獲得するプロセスです6,7。 つまり、専門家が利用者のパーソナル・リカバリーを応援する際には、「代わりにやってあげる」のではなく、利用者が自身の生活や治療を主体的に決めていけるような支援が求められます2
意思決定への参加をしやすくするSDMを実践することは、精神科の診療場面で医師ができるリカバリーの応援ということになります。

SHAREのもたらす効果

SHAREでSDMをスムーズに実践できる

精神科においても大切なSDM。
SHAREの効用は、”普段の診察に自然とSDMの実践を取り入れられる” ことです。

なぜツールが必要なのか

もちろん、SDMの実践とSHAREのような意思決定支援ツールを使うことはイコールではありません。しかし、鍵となる要素を、普段の診察の中で自然に実践するには、ツールが役立つことがあります。実際、SDMをどのように実践していくかについては、日本を含め国際的な課題となっています8,9
そのような中で、意思決定支援ツールの効果検証もなされており、105件の研究を基に、意思決定支援ツールの効果を検討したレビュー論文においては、意思決定支援ツールを使用すると以下のようなよい点があることが示されました4

・選択肢についての知識が増える
・自分にとって重要なことについてよく理解できたと感じる
・意思決定に参加する傾向がつく可能性がある

SHAREの有用性

そこで、国立精神神経医療研究センター精神保健研究所 (旧:社会復帰研究部) の研究グループにより、SHARE (研究版SHARE) ※が開発されました。研究版SHAREの効果を検証するために、調査を実施したところ、既存の診察を続けた参加者と比べ、SDMシステムを利用した参加者は医師との関係性やコミュニケーションの内容、満足度などが向上していました10


※研究版SHARE:研究時点で使用されたツールを指す。研究版と製品版では、デザイン、項目内容等に、実利用へ併せた若干の変更がございます。

【参考文献】

  • 1.Kunneman M, Montori VM, Castaneda-Guarderas A, Hess EP. What Is Shared Decision Making? (and What It Is Not). Academic Emergency Medicine 23:1320-1324, 2016.
  • 2.山口創生, 種田綾乃, 下平美智代, 久永文恵, 福井里江, 吉田光爾, 佐藤さやか, 片山優美子, 伊藤順一郎: 精神障害者支援におけるShared decision makingの実施に向けた課題:歴史的背景と理論的根拠. 精神障害とリハビリテーション 17(2):182-192, 2013.
  • 3.Matthias MS, Salyers MP, Rollins AL, Frankel RM: Decision making in recovery-oriented mental health care. Psychiatr Rehabil J 35(4):305-314, 2012.
  • 4.Stacey D, Légaré F, Lewis K et al. Decision aids for people facing health treatment or screening decisions. Cochrane Database of Systematic Reviews 4, CD001431, 2017.
  • 5.Morant N, Kaminskiy E, Ramon S: Shared decision making for psychiatric medication management: beyond the micro-social. Health Expectations 19:1002–1014, 2016.
  • 6.巴山玉蓮, 星旦二: エンパワーメントに関する理論と論点. 総合都市研究 81:5-18, 2003.
  • 7.池田和恵, 松尾ひとみ: 「エンパワーメント」概念の活用状況 :文献検討を通して. 静岡県立大学短期大学部研究紀要 24:1-8, 2010.
  • 8.山口創生: 精神保健サービスにおけるShared decision making:現状と課題. リハビリテーション研究 163:4-9, 2015.
  • 9.山口創生, 種田綾乃, 市川健, 坂田増弘, 久永文恵, 福井里江, 藤田英親, 伊藤順一郎: 日本の精神科診療における患者-医師関係とコミュニケーション:システマティック・レビュー. 精神医学 56(6):523-534, 2014.
  • 10.Yamaguchi S, Taneda A, Matsunaga A et al. Efficacy of a Peer-Led, Recovery-Oriented Shared Decision-Making System: A Pilot Randomized Controlled Trial. Psychiatr Serv 68(12):1307-1311, 2017.

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